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1日8時間寝るとして・・・・・・・・

家族

今週のお題「おじいちゃん・おばあちゃん」

 

 

素晴らしき家族旅行 上 (毎日文庫)

素晴らしき家族旅行 上 (毎日文庫)

  • 作者:林 真理子
  • 発売日: 2020/06/01
  • メディア: 文庫
 
素晴らしき家族旅行 下 (毎日文庫)

素晴らしき家族旅行 下 (毎日文庫)

  • 作者:林 真理子
  • 発売日: 2020/06/01
  • メディア: 文庫
 

  家族がAmazonで購入した林真理子さんの文庫本を読んだ。文庫になったのは数か月前みたいだが、作品自体は1994年に刊行されていた。読み進めていくうちに感じた一昔前のお話感に納得した。公衆電話で国際電話をテレフォンカードを使って掛ける場面、ブランド物のバッグをプレゼントして親戚を喜ばそうとするところ、バブルが終わって不景気が続いていたころのお話らしい。私が生きていなかった親以上の世代の家族生活が、特に人間関係を基軸に描かれていて面白かった。思わず、ぷぷっと小さな吹き出し笑いが止まらない。性格の悪さが出る、けけっ笑いも止まらない。

 出てくる男はぼーっとした坊ちゃん風ばかりでつまらないが、女はキャラが強くて面白い。丁寧な言葉遣いをして、上の下、中の上あたりの階層の人間だと、プライド高くアピールする姑。逆にどんな人からも愛される、それはいわゆる先生と言われるような職業の人たちからも、老若男女だれからも愛される嫁。

 話は変わるが、私は小さいころからずっといかに母が姑にいじめられるのかを聞いてきたし、実際に見てもきた。そして、父がそんな母をいじめる自分の母親を怒ったり注意したりするところを一度も見たことがない。自分の母親が何を言ってもおかしいと思わないのか、時間が経てばなかったことになると期待しているのだろうか、それとも単に親に反抗するということが怖いままおじさんになったのだろうか。いずれにせよ長年の恨みをなかったことに出来るような女では私の母がないことは確かだ。まるで昨日あったことのように、30年前の嫌がらせ話をいきなり始める。

 長年嫁をいじめてきた変わり者で、クレイジーな私の祖母は完全にボケてきた。孫である私の名前は、遠い昔よく遊びに来ていた親戚の子の名前になっているし(私が何度訂正しても治らないので、もう会ったときに本来の名前で呼ばれることはないだろう)、私が住んでいる場所も勝手に自分の故郷にされている。また、自分の息子がどこに家を買ったかも覚えていないようだ。さらに面倒なのが私の祖父だ。こちらはまったくボケていないのだが自分の妻がボケたことを言うといちいち小ギレする。そしてバカなことを言うんじゃないと否定する。おそらく自分の妻がボケていることを認めたくないのだろうし、出来れば周りには隠したいのだろう。

 弱っている年寄りにどう接するのがベストなのかはよく分からない。とりあえず離れて暮らしていても出来る電話はなるべく頻繁にかけるようにしている。そして不思議なのは、電話だとボケた発言をほとんどしないのだ。推測するに、大人になった孫とリアルに接すると時系列やら、人物などがごちゃごちゃしてしまうのだろう。ただ声を聴くと元気をもらえるというのだから、電話してこちらもうれしい気持ちにはなる。

 また不安なのが、私の家族が情に薄いクレイジーなキャラ立ちをしている人物が多いということだ。とても互助の気持ちがあるとは思えない。お互いが出来るだけ関わりたくない、避けている気がする。情より金で解決が現実的な策になりそうだ。

 孫の私が出来ることは、出来るだけ元気な姿を見せることと、会ったときに優しくするぐらいしかない。

 

 

我らがパラダイス (集英社文庫)

我らがパラダイス (集英社文庫)

  • 作者:林 真理子
  • 発売日: 2020/03/19
  • メディア: 文庫
 

  コロナをまだ知らなかった去年読んだこちらの話も面白かった。これは老人ホームが舞台なのだが、正直「素晴らしき家族旅行」の方が、自分の置かれている境遇と重なるところも多かったからかもしれないが、笑えた。プライドが高い老人というのはこちらの話にも多多登場してくるので、そういうのを小馬鹿にする私の様な性格の悪い人間にはたまらない話であった気がする。

 

 あっという間に9月も過ぎ去った。サッカーの三浦知良選手、通称キングカズがピッチ上で初めて試合に出れた小学生のように、喜びを爆発させる顔を新聞で見かけた。自分は果たして年を取ったときあんな顔が出来るものと出会えるのだろうか。まああそこまでいかなくても小躍りして、ルンルン気分になれるものがあったらうれしい。