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1日8時間寝るとして・・・・・・・・

『生きるってなんやろか?』面白かった。

分野の違う専門家の方が対談している本は大抵面白い。異なる分野ということで、お互いを競わせるのではなく、いい部分を共有しようと話が進んで行くことが多いので面白い。おまけにすらすら読める。昨日「生きるってなんやろか?」科学者と哲学者が語る、若者のためのクリティカル「人生」シンキングを読んだ。

対談しているのは石黒浩[アンドロイド先生]と鷲田清一[テツガク総長]だ。それぞれの業界の変人同士が生きるとはどういうことかについて話題を広げながら、面白い話をたくさんしてくれる形式だった。おしまいの編集者の方の質問にも、自分で考えてくださいと答えを教えようとしない。とにかくあれこれ考えないでつっこんでいくことが大切で問題に対して与えられた答えなんてないというのがざっくりとしたメッセージのような気がする。

個人的には5章の[エクスタシーを忘れるな]が一番のめりこんだ。「ゆらぎ」、振動が大切ということがなんとなくわかったような、もやもやが残った。自分が自分でなければいけない、人生の選択が自分に返ってくるというのはなかなかつらいというお話がしっくり来た。

自分を揺さぶって、人と関わることを続けていくことで幅をもって自分が出来ていくというのがお二人のざっくりとした言いたいことだと思う。鷲田先生のセルフというのはアザーズアザーズなんだねっていうのが気に入ったフレーズだ。人は常に他者との関係性において自分のことを語るというのは、鷲田先生の他の著書でもよく出てくるお話だ。たぶん、新編 普通をだれも教えてくれない (ちくま学芸文庫) でも出ていたお話で個人的にはこの本もかなり心に残っている。

すべての学問は「人間とは何か」というところに続くというのを覚えておいてくださいと、ある先生がおっしゃていたことを思い出した。私も日々感じる違和を心にとどめておきたい。